すい臓がんは、最も厄介ながんの一つです。
これは手術で取り除くことが難しい上に、身体の内部にあるため早期発見が困難で、見つかった時には手遅れになっているケースが多いためとされています。
ところが、この困難な膵臓がんのリスクを低減するには、ビタミンDが有効であることが分かりました。
これは、米国の研究グループが、栄養とすい臓がんの関係を調べる大規模疫学的調査を行った際に分かったもので、「がんの疫学バイオマーカーと予防」に報告されたものです。
研究グループが、調査記録を分析したところ、米国保健省が設定するビタミンDの1日当たり推奨摂取量400IU(国際単位)を摂取している人は、すい臓がんリスクが43%も少なくなっていることが分かりました。
一方、1日当たりの摂取量が150IU以下の人は、リスクの削減率が22%にとどまっていたそうです。
また、日光への暴露が多いほど、前立腺がんや乳がん、直腸結腸がんの発生率や死亡率が低いことが示唆されており、その理由としてビタミンが関係しているからと考えられています。
ビタミンDという簡単に摂ることの出来るサプリメントにより、がんの発生リスクそのものを低減することが出来るとなれば、今後のすい臓がん対策に非常に強いインパクトとなります。
ビタミンDについて
ビタミンDは、油脂に溶ける脂溶性ビタミンのひとつ。食べ物から摂取するほかに、日光を浴びると私たちの体内でもある程度つくり出すことができるビタミンです。
以前はIU(アイユー)という国際単位で示されましたが、現在はμg(マイクログラム)で表されます。1μg=40IUです。
ビタミンDには、小腸や腎臓でカルシウムとリンの吸収を促進する働きと、それによって血液中のカルシウム濃度を保ち、丈夫な骨をつくる働きがあります。
ビタミンDを豊富に含む食品は比較的限られていて、魚介類、卵類、きのこ類などです。なかでも魚介類には、塩さけ100g中に23μg、しらす干し100g中に46μgと豊富に含まれています。